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いつかまたここで 4

Posted by 華蓮 on 09.2014 0 comments
★タクミくんシリーズ「station」華蓮的補完計画目次★

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島岡さんと再会してから1週間と半分が過ぎて、なんとなくあのCMの話はなかったことになったんじゃないかな、と思っていた矢先、再び島岡さんホテルの支配人経由でぼくの前に姿を現した。


「先日はサンプルCDをありがとうございました。本当に素晴らしい曲ばかりで、実のところ私は託生さんの曲を存じ上げていなかったので、あのサンプルを聴いて本当に驚きました。音が……あの頃と比べて別人のような、深くて、それでいて心に染みる優しい音色で…不覚にも少し泣けました」
「………島岡さん」
「あくまでも今のは私個人の感想です。すばらしい演奏者になられたんですね、託生さん」
「……ありがとう、ございます」

面と向かって、なんの含みもない笑顔で言われれば、お礼を言うしかないわけで。
なんか……知り合いに誉められるのはやっぱりどうしても照れる。

「ここからはビジネスです。当社で検討した結果、CDにあった12曲目を是非CM曲として使用させて頂きたいと考えています。つきましては、あの12曲目のフルバージョンと20秒程にアレンジしたCM用のものを準備頂きたいのです」

島岡さんはかばんの中からCMに関する書類と、おそらくこの曲の使用許可に関する書類を出したのだと思う。
だけど、ぼく『たち』にはこの12曲目が使われる時だけに使える最後の切り札がある。

「島岡さん。大変申し訳ないのですが、あの12曲目の曲。タイトルがこの前決まったところなんですが、『ひかり』っていう曲なんですけど、あの曲はぼくの曲でもあるんですが、使用許可は別の人に取って頂かないとダメなんです」
「………どういうことですか?」

さすがに怪訝な顔をした島岡さんに、ぼくもかばんの中から数枚の書類を出した。
すべて英字に訳してもらってあるものだ。
実はこの書類作ってくれたのが三洲くんだと知った時には驚いたけど。

「この書類はあの曲の著作権譲渡の書類です。後はここに譲渡する相手の署名があれば正式な書類として成立します。文章の中にもその譲渡する相手の名前が明記されているので、署名だけ別の人がしても成立はしません」
「…………」
「読んで頂けたらわかりますが、譲渡する相手は崎義一。ギイです。この曲はぼくが笑っているギイを思い出しながら作った曲なんです。だから、この曲をあなたがたが選択した場合、お金をもらいたくありません。なので、この曲を利用する・しないの選択はぼくではなくギイへお願いします。そして、この譲渡の書類には一つ条件がつけられています。その条件がこのCD-ROMになるんですが、これをギイへ渡してください。ギイに見せる前に閲覧が入っても別に構いません。ぼく『たち』が困る内容はひとつもないので。ただ、ぼく『たち』はギイと旅立ちの言葉を交わせなかった。ただ、それだけがみんな心残りだったんです。だから、そのCD-ROMはあの頃のぼく『たち』からのギイへのエールなんです。そのCD-ROMをギイへ手渡してもらうこと、それとこの譲渡の書類の署名が成立した場合、ぼくはあなたがたが指定する場所であの曲を提供します。最後に……この譲渡が成立した場合、この曲をもって、二度とFグループ関連に曲は提供したくありません。バイオリニストの生命が断たれようともぼくは構いません。ぼくにとって名声なんてものは必要ないので。ぼくはぼくのしたいようにバイオリンを愛せればいいと思っていますから。まぁ、ここまで言った時点でそもそもCMの曲になんて使いませんって言われればそれまでなんですけど、それはそれで結構です。ぼくには出来すぎた話だと思っていますから。すいません。生意気を言いましたが、よろしくお願いします」

赤池くんから言われたことを全部言えたかちょっと自信ないけれど、
概ね全部言えたと思うし、ぼくもぼくが思っていたことは言えた。
それに、あのCD-ROMがギイへ届けられるなら、もうそれだけでいいと思うから。
ぼくの思いはあのCD-ROMに全部託したから。

「………託生さん」
「島岡さん。島岡さんは今でもギイのよき理解者ですか?ぼくにはその答えを聞いて信じられる証拠がどこにもないんです。なので、これ以上の言葉はぼくに必要ありません。あの曲はギイの署名が入った書類の1部がぼくの手元に届いた時点で、ギイのものです。ぼくとFグループの契約は必要ありません。それですべてが終わります」
「………わかりました。追って連絡をさせて頂きます」

島岡さんは一つため息をついて、ぼくが滑らせた書類とCD-ROMを手に部屋を出て行った。
一度ならず二度までもまともに会話をせずに、島岡さんを突っ返してしまって、ぼくとしても恐縮ではあるんだけれど、それ以上に、ギイが心配でもあったから。


……これで賽は投げられた。後は鬼が出るか蛇が出るか。
ぼくはギイの強運を信じるよ。






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