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いつかまたここで 3

Posted by 華蓮 on 09.2014 0 comments
★タクミくんシリーズ「station」華蓮的補完計画目次★

***********************



島岡さんと再会してから1週間。
まだ、島岡さんからの連絡はない。
島岡さんに再会したあの夜、ぼくはホテルを後にしたその足で赤池くんのところに向った。
突然訪問したぼくに驚いていたけれど、ぼくの曲を使いたいと連絡をしてきたのがFグループでさらに交渉にきたのが島岡さんだと話した時点で赤池くんは難しい顔をした。

「……それって、葉山を何かに利用しようとしてるってことじゃないのか?」
「………そう、なのかな?島岡さんからはそういう感じしなかったんだけど、ぼくもどう反応していいかわかんなかったし、今現在もギイから連絡が自由に取れない状況だとしたら島岡さんがぼくにギイの指示で会いにきたとも思えないんだよ。だから、赤池くんに言われた通りの交渉ごとしかしなかったし。言いたいこと言って挨拶そこそこ退出してきちゃったんだけど」
「は?退出って……島岡さん残して帰ってきたってのか??」
「うん」
「………うんって……おまえ、相手あのFグループだぞ?下手に怒らせたら、せっかくのおまえのバイオリニストの道すら消えちまうかもしれないんだぞ?」
「そんなの別にいいんだ。ぼくはぼくの好きなようにバイオリンが弾けたらいい。そして、その音をギイが聴いてくれさえしたらいいんだよ。バイオリニストの道が断たれたら違う方法を探せばいいだけだし。バイオリンさえあったら、どこでも弾けるんだから。あ、そう言えば、なんか矢倉くんが動画がどうこう言ってたから、それでもいいしね」

ぼくの実にあっけらかんとした回答に赤池くんは目を丸くして、しばらくぼくを凝視した後、吹き出した。

「……ぷはっ。まったく、相変わらず能天気というか楽天的というか、なんも考えてないっていうか、あぶなっかしくておちおち目も離してられないっていうか…。ただ……いざって時の決断力のキレは毎度驚かされるよ」
「ひどい言いようだね、赤池くん」
「でも、まぁ、それが葉山のすごいとこかもな。………昔な、ギイになんで葉山なんだって聞いたことがあったんだよ。ギイほどの男が拘るに値する価値を葉山に見出せなかったんだ。僕は。もちろん、今もやや思わないことはないが、葉山は葉山のいいところがあるって僕はちゃんと知ってるから、あくまでも昔の話だ。……やつは……ギイは葉山に憧れてるって言ってた」
「………憧れって」
「………今なら、やつの言ってたのがほんの少し理解できる気がするよ」
「え!?」
「ま、ほんの少しでそれ以外は心労でやつれそうなくらい不安を感じるがな」
「赤池くん!誉めてるの?貶してるの!?」
「あはははは。まぁ、おまえはおまえの思うようにやったらいいよ。僕はそれが正解への最短ルートな気がしてきた。ギイの強運とおまえの決断力があれば、本当になんとかなるのかもしれないって、なんの確証もないのに思えてくるんだ。これってほんとすごいことだよな」
「………ぼくの決断力は全くもってアテにならないけれど、ギイの強運っていうのには激しく同意かな。なんかね、ぼく、全部うまくいくような気がするんだ。うまく説明できないんだけど」
「ああ、そうだな。……それにしても、CMに使いたい曲ってどの曲だったんだろうな」
「……ああ、なんかイブの日に演奏した曲だったらしいんだけど、曲にタイトルなんてつけてないし、どうも島岡さんもどの曲かわからないっぽかったから、CD渡して、3曲目と7曲目と12曲目だって伝えてきたんだよね」
「へぇ。イブって言えば俺たちもいた時か…。ふむ。僕はなんとなくFグループの『耳』に留まったのは最後の曲だと思うがね」
「あの曲か……」

うーん。あの曲だとしたら、ちょっと困ったことかもしれない。
あれは、ギイの曲。
ギイのためだけに作った曲だから。
それがお金で買われるのは、どうしてもイヤだ。

「あれは確かにいい曲だったよ。あの曲を聴いて、俺も奈美もほとんど同時に思わず弾いてるやつに目がいったんだ。そしたら奈美が『あれって葉山さんじゃない?』って言うもんだから、俺もびっくりして、でも、あれを弾いてる葉山を見て、言葉が出なかった」
「赤池くん?」
「なんて言ったらいいんだろうな…あの時の気持ち。温かい気持ちがな、胸に広がったっていうか、無性に人を大切にしたいって思わせてくれるいい曲だったんだ。純粋に感動したんだ。あの曲に。音楽が止んで、おまえも裏に下がったのに、レストラン中がしーんって誰もが夢の中にいるような顔をしてた。通常のBGMに切り替わった瞬間、レストランの空気っていうか時間がやっと動き出した気がしたよ。だからかな、あの時にあの曲を演奏していたのが本当に葉山だったのかどうか、確証が持てなかったんだ」
「…………」
「それにしても、あの曲…とは限らないが、おそらく間違いないだろうけど、目をつけたのがまさかのFグループとはねぇ。まぁ、目をつけたのはあの曲なのか、それとも葉山なのかが気になるところではあるが、何にせよ、あの曲が悪用されないようにしっかりやってくれよ、葉山。俺も奈美もあの曲のファンなんだ」
「いやいやいや…なんかそんなファンとか言わないでよ。どう反応したらいいかわかんないし!」
「あはははは。相変わらず誉められ慣れしてないんだな、葉山」
「慣れるわけないじゃないか!まったく!……でも、あの曲を気にってくれてありがとう。そう言ってもらえるとすっごく嬉しいよ。ただ……あの曲だとしたら、ぼくはCMの話受けたくないんだ」
「葉山?」
「あの曲はギイの曲なんだ。ギイのために作った曲だから。もし、あの曲をFグループが使いたいって言ってきたとして、報酬が発生するだろう?そのお金をもらってしまうと、なんか…ギイとのこと全部をお金で精算するみたいな感じがするんだ」
「…………」
「だから、ぼくはあの曲だけは報酬の発生するものの為に弾きたくないんだ。レストランの演奏ももちろん報酬は発生するけれど、あれは演目の一つだから特に気にしないんだけど、あの曲に関する契約はぼくはしたくない。あの曲を弾く理由はギイでありたいってぼくは思うんだ」
「…………おい、葉山」
「なんだい?赤池くん」
「もしだぞ、もし、あの曲をFグループが使いたいって言ってきた場合、これはもしかしたらもしかできるかもしれないぞ」
「は?言ってる意味がぜんぜんわからないんだけど」
「だから!!おまえのあの曲でギイに連絡が取れるようになるかもしれないって話だ」
「え!?」
「でかした、葉山!そして、あの曲を選んだかもしれないFグループのヤツに俺は礼がいいたい気分になってきた。よし、あの曲が選ばれたと仮定した場合の作戦会議だ!ギイが動けないなら、動けるように俺たちが荷物を奪ってやればいい。葉山、反撃開始だぞ!」

まったくあの曲以外の曲が選ばれる可能性を無視して、赤池くんの目が人の悪そうな光を帯びて、ぼくはちょっと引いたけれど、それ以上にギイに連絡が取れるかもしれないその可能性があることにぼくの心は激しく揺れた。

ギイに会えるかもしれない。
ギイに届けられるかもしれないんだ。ぼくの音が。

そう思うと、ぼくは無性に何かわからないけれど、たぶんギイの強運に感謝したくなった。




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